例題11 円柱の軸対称非定常熱伝導解析(熱伝達問題)
出典:日本機械学会:「伝熱工学資料」,丸善,p.34
軸対称/非定常/線形/問題
節点数:306 要素数:500 (三角形環状1次要素) 時間増分値 2.0 [sec]/完全陰解法
境界条件:
連続境界条件=断熱境界条件:領域上端( z = 0.05)下端( z = 0.00)
熱伝達境界条件:右端( r =1.00):周囲流体温度 80.0 [℃],熱伝達係数:5000.0 [W/m2]

物性値:熱伝導率:26.20 [W/m℃] 比熱:439.00 [J/kg℃],密度:7740.0 [kg/m3]

寸法:Lr = 1.00 [m] Lz = 0.05 [mm]
解析モデル ( 軸対称モデル )

図1に示すような,初期温度が0.0 [℃] 一様であるz方向に無限に長い円柱の断面を考えます。
この断面は左端が対称軸であり,円柱の外部は一様温度80.0[℃]の流体に接しています。
円柱と流体間で熱伝達が起こる条件で,非定常解析を行い円柱の温度を計算します。
円柱はz軸方向に無限に長いので,この方向については温度変化は一様であるとみなせます。
そこで z 方向は適当な部分で打ち切って,断熱境界条件を設定します。
計算は,時刻0.0 [sec]から28800.0 [sec] (8.0 [h])まで完全陰解法により計算し,理論解と比較します。

図1 解析モデル

計算結果 温度分布

図2 温度分布アニメーション (8コマ 1時間ごと)

 

図 2-2 LS-DYNA による計算結果 10コマ

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温度分布グラフ

本例題は,r方向にのみ温度分布が変化する一次元問題です。
本例題の理論解は次の式で与えられます。

■円柱温度

ここで,各変数及びパラメータは次のようであります。

Tfluid

[℃]

周囲流体温度
r
[m]
半径方向の座標
R
[m]
円柱の半径
t
[ t ]
時間
Gn   ベッセル関数を含む方程式



の解
  0次のベッセル関数値
  1次のベッセル関数値
h
[W/m2]
円柱の熱伝達率
λ
[W/m℃]
円柱の熱伝導率
ρ
[kg/m3]
円柱の質量密度
c
[J/kg℃]
円柱の比熱
 

図3 r [m] における温度分布

図3より,計算値は理論解に対して良好な精度を示しています。
理論解は,伝熱工学資料に数表が示してありますのでそれを参考に,上記の関数を計算し求めることができます。
計算ステップ数は,終了時間を8時間=28800 [ sec ] とし,時間増分値を 2.0 [sec] としていますので,14400ステップです。